遺産で揉め事が発生したら? - 相続で揉めたときの調停について

遺産で揉め事が発生したら?

遺産によるトラブルは年々増加し、複雑化しています。
現に弁護士の元に来る相談も遺産に関することが増えて来ており、訪れる人が後を絶ちません。
「遺産のトラブルはお金持ちだけの話で、私には関係ない」と思っている方もいらっしゃるでしょう。
でも遺産にまつわる裁判で最も多いのが、相続財産5000万円未満の方々なのです。
しかも中には話がこじれ過ぎて、最高裁にまでもつれこんだ事例もあるほどです。

遺産に纏わる問題は、いつ何処で誰に降りかかるのかは分かりません。
「自分は関係ない」と思っている人ほど、明日には問題の渦中にいるのです。
その為にも今からでも遅くは無いので、いざという時の為に準備だけは整えておきたいものです。

まず遺産のトラブルを迅速に解決する為にも、ご自身が相続について勉強する必要があります。
相続とはある人物が死亡した時に、生前抱えていた財産を法定相続人(亡くなった人と血縁関係がある人。配偶者や子供がなる場合が多い)か、亡くなった人が指定していた人に受け継がれます。
ただし相続手続が発生したからとはいえ、直ぐその場で財産を受け取れるという訳ではありません。
財産を受け取るには様々な手続きが必要となるのですが、中でも厄介なものが「遺産分割協議」でしょう。
協議が上手くまとまればそれに越したことはありませんが、世の中そんなに甘くはありません。

相続が発生した時に「相続人となる人物は権利義務を承継すること」として、民法で定められています。
そして相続人となる人物が複数存在していた時、その財産は相続が始まった瞬間から複数の相続人共有のものとして決められています。
ただし遺言書で指定があれば、共有にはなりません。
でもいつまでも共有している訳にはいかず、いつかはそれぞれの相続人に引き継がなければいけません。
そこで「遺産分割協議」で法定相続人か被相続人が指定した相続人で話し合いを行います。
そして遺産をどのように分配するかを決めて行くのです。

では遺産は、どのような形に分配されるのでしょうか。
大きく分けて3つの方法があります。
まず1つ目は、あの土地はAさん・家屋はBさん・預金はCさんと個々の財産をそれぞれに分配する「現物分割」です。
そして2つ目は「換価分割」で、遺産をお金に換えて代金を分けていきます。
3つ目は「代償分割」で、例えば土地が1ヵ所しかなく遺産はそれだけという場合にどう分配するかを決めていきます。
ちなみに遺産の分割については、特に急ぐ必要はありません。
出来るなら相続人となる人物が全員同じ場所にあつまり、納得するまで話し合いたいものです。

尚民法では「ここまでするか!?」と思わず声が出る程、遺産分割に関してかなり細かく決められています。
民法では、「遺産を分割する際には、遺産の種類・性質・相続人の年齢・職業・心身の状態・生活状況等の事情を考慮する事」と定められています。
例えば田舎にある土地を相続する際、民法に基づいて決めるのならば、その土地に頻繁に通い普段から管理出来る人物に引き継がれます。
しかし普段は海外にいて日本に帰るのも数年に一度というのならば、相続しても土地の管理が出来ないので、認められることは無いでしょう。
例え本人が強く希望したとしても、受け継いだものは大事にすべきです。

しかし相続人の事情を考えて遺産を分配することは、民法で定められているからとはいえ、まだ納得は出来るかと思います。
でも更に民法では「ご先祖様が眠っている墓や仏壇・位牌を相続するのは、祀っている人であること」とまで、定められています。
確かに墓や仏壇も遺産相続には含まれるものの、そこまで法律で決められているとなると、ただ驚くしかありません。
ちなみに遺産分割が終わった後の取扱いについても、法律で定められています。
簡単に言えば遺産分割によって決められた分は、その人の物になるということです。

しかし幾ら法律で事細かく遺産分割のことが決められていたとしても、協議がまとまらない場合もあります。
何回話し合いをしても決着が着かない場合は、家庭裁判所に調停の申立てをすることになります。
ただしいきなり訴訟になる訳では無いので、そこまで気を張る必要はありません。
調停委員が間に入って両者の言い分を聞き、相続する財産をしっかり見定めた上で決めていきます。

そして調停でも話がまとまらない場合は、審判へと入ります。
担当するのは調停委員ではなく司法資格を持っている人物になるので、一度決められた事柄は絶対に従わなければいけません。
法律に基づいて遺産分配が決められているとはいえ、それでも納得出来なければ裁判へとなります。
遺産の分配を話し合うのに裁判は大袈裟ではと思うかもしれませんが、最近は珍しくなくなりました。
中には最高裁にまでもつれこむこともあります。

遺産の揉め事は想像しているよりも厄介な物で、長引けば長引くほど大きな負担になります。
少しでも早く解決する為にも、今からでもしっかりと対策を立てておきましょう。